「CEOを育てる」を読書中

SHINSEI VIETNAMさんに指令(笑)を受け、上層部の教育書としては有名どころと思われる「CEOを育てる」を読書中。
http://www.amazon.co.jp/CEOを育てる―常勝企業の経営者選抜育成プログラム-ラム・チャラン/dp/4478005664


本の概要はこんな感じ。

  1. リーダーを育てる事の重要性の強調
  2. リーダーと他人員の相違の説明
  3. CEOとCOO、CFOに求められるものの相違の説明
  4. 徒弟制度モデルの概要*1
  5. いくつかの具体例

他、言っていることはその他の教育本とあまり変わらないが、この本はとにかく「リーダー」というものの特別性を強調している。
正直アメリカと日本は組織体制も育成体制も違うので全面的に頷ける箇所は少ないのだが、実際に「いろんな人を育てながらリーダーが育つのを待つ」より、「リーダーになれそうなものを選抜し、集中的に優れたリーダーとして育てる」方が効率がいいのは事実。
日本は共産主義的なところがあるんでなんでもかんでも平等にやろうとするんだが、本書ではリーダーとして育てる人間には飛躍のために失敗出来る余地を残した上で、通常よく言われる一段上程度の低い目標の仕事ではなく、もっと過酷な目標を与えたり、特定の能力を伸ばすために時には降格に近い人事も必要なのだと、具体的な手法についても力説している。
後継リーダーが十分に育っていない会社や、今後育成方針を変えようとしている人には参考になるんじゃないかと思う。


後、アメリカはヘッドハンティング全盛の国という認識があったのだが、この本は生え抜きを育てる事の重要性をちゃんと説いている辺りが面白い。
ちょっとGEのモデルをほめすぎなんじゃないかなという気もするのだが、GEが実際生え抜き主体でやってきており、そのGEが生え抜き主体でやってこれたのは「CEOを育成するモデルが優れていたからだ」というのは、多分アメリカのいろんな企業の人には面白い話なんだろうな。


さて、とはいえこの本は企業の規模がちょいと大きすぎる感じがする。
いやね、ぶっちゃけ20人未満の会社だとほぼ全員徒弟制なんですよね。今のところエンジニアのカウンセリングも育成計画立ても自分でやっているし、「ブラジルにいるリーダーAとベトナムにいるリーダーBを同じように評価する仕組み」なんて言われてもブラジルに無いし、CFOとCOOもいないし。
そのまま使うというのは、ベンチャー屋にとって正直難しい部分はあるね。
まあ、参考までに大企業としての考え方を勉強するのは面白いし、CEOはCFOやCOOと異なり本当のオールマイティーである必然性を再認識するというのも重要だし、そういった意味での勉強程度かな。


人材育成本というと私は大分前にあげたこの辺を読んでいるわけだが、
http://d.hatena.ne.jp/tsugehara/20060706/1152175314
http://d.hatena.ne.jp/tsugehara/20060708/1152334702
(一覧はこちら)
http://www.amazon.co.jp/gp/registry/registry.html/249-9013509-3140318?ie=UTF8&type=wishlist&id=6P8EWZIFG7T0
この中では心構えとして「頑固な羊の動かし方」、手法の勉強として「動機づける力」、リーダーという特殊人材を考慮するために「CEOを育てる」、まとめとして「人材育成の進め方」辺りを読んどくのがいいかなと。
今のところ一番は「頑固な羊の動かし方」。
この本はベトナム語に翻訳して、うちでリーダーを任せる人間に配布している。どのくらい効果があるかは、正直よくわからないけど。

*1:普通の徒弟制度モデルと本書の徒弟制度モデルは同じではないと思う