研修制度(2)

構成

CUVELでは入社後、一ヶ月間の研修制度があることは既に触れた。
一ヶ月間の研修制度の内訳は以下の通り。

  1. マニュアルを用いた業務講習
  2. 専用システムを用いたプログラミング実習
  3. まとめとしてのプロジェクト実践

1〜2は同時期に開催され、3は1〜2の後に実行される。


本日は2回目。
今回は「マニュアルを用いた業務講習」について記す。

マニュアルを用いた業務講習

流れ

マニュアルを用いた業務講習は、以下の流れで実施される。

  1. ペア選定
  2. 事前講習
  3. 資料準備
  4. 発表
  5. アフターケア

本講習の目的は業務の学習である。

  1. CUVELとは何か?どんな仕事をするのか?
  2. ソフトウェア開発とは何か?そもそもソフトウェアとは何なのか?
  3. プログラミングとは何か?.NETだけでいいのか?
  4. IT業界とは何か?プログラミングだけが仕事なのか?
  5. プロジェクトとは何か?またプロジェクト管理とはどういうものか?
  6. そして、オフショア開発とは何か?何に気を付ける必要があるのか?

本講習には50ページ強のマニュアル*1を用いて行なわれる。
本資料の目次はCUVELのWebサイトに公開されている。
http://cuvel.com/document.pdf


内容としては名著プログラムはなぜ動くのか?*2のような説明から、制御系や業務系といった業務分類の話、IT業界で呼称されるプログラマーシステムエンジニア、プロジェクトリーダーやデザイナー、営業といった職種の解説。
期間による契約や常駐形態での開発、プロジェクト単位での契約や受託形態での開発、代表的であるウォーターフォールモデルや、最近定着しつつあるXPモデルの解説。
オフショアの定義やその課題、すなわち文化やカレンダーの差異、言葉や意思疎通の問題などを講習していくことになる。


ここまでは、一般的である。その一般的な講習をどこまで一般的な企業が徹底しているかは存じていないが、まあ一般的といえる内容であろう。
ちなみに社会人マナー等は別口で行う。マナーのいい力の無い人間より、オフショアの場合はマナーの悪い力のある人間の方が価値が高い事を加味し、最低限の講習として業務講習に比重を置いているためである。


ただ、その講習の方法が少し変わっている。
新入社員が、別の社員に対して説明するという形式をとっている。
次項以降で詳細に解説していく。

ペア選定

まず、"ペア"を選定する。ペアとは二人一組の意図でここでは使っている。
このペアとは、先生役のペアである。
業務講習は、5章*3立てになっている講習から、1章ごとに先生役のペアを決め、先生役のペアは残りの新入社員に対して与えられた章を講習する役目を担う。
5章あれば10人分のペアが出来る。同時に10人採用までの構成であるが、11人以上の構成については色々と案を考えられるだろう。例えば、10人ずつのグループを作る方法や、3人一組にしての15人制など。


このペア選定ははじめに行なうため、新入社員の個性はほとんど知らない。
資料に書いてあるスキル・年齢や、ぱっと見の印象など、言うなれば独断と偏見で決める事になる。
ただ、これはこれでいい。完全にランダムでもいいくらいである。
作為的ではなく、なんとなく選ばれた新人同士が初仕事としてプレゼンを行なう事自体が重要なのである。
上手に出来るかどうかは、ここではあまり問題にはしない。

事前講習

次に、ペアに対して事前の講習を行う。
その章で言いたいことは何か、この文言はどういう意味か、私またはマネージャークラスの人間*4から直接講習を受ける。
この講習はあえて他の人員には秘密にする。

資料準備

事前講習を終えたペアは、プレゼン用の資料準備に取り掛かる。多くの場合パワーポイントで資料を作ることになる。
作業の時間は一週間。役割分担はペアで決めるように言い渡されているため、例えば章ごとに発表する人物を決めて、その章の執筆を各々で担当するペアや、二人で協力して執筆していくペアなどの個性が出る。
資料執筆中に不明点がある場合、質問をすることは許容されている。
読むだけではなく書いていく事で項目の内容を深く理解し、理解していく中で疑問が生じることもある。
こうしてある程度マネージャークラスの人間の助けを借りながら、発表に向けて準備を進める。

発表

さて、発表である。
発表は通常、プレゼンテーション→質疑応答→プレゼンテーション→質疑応答で行なわれる。通常は1時間程度で終わる。
質疑応答はプレゼンの組み方によって変わるため、必ずしも2回とは限らない。
なお、本年度よりようやくプロジェクタを購入した。去年は液晶ディスプレイで細々とやっていた。
他は取り立てて補足することもない。

アフターケア

発表を行なった後・・これが重要なのだが、講習についての反省会が行われる。
発表側だけでなく、聞き手側も含めて、今のプレゼンで悪かった所はないかという反省会である。
例えば聞いている人間が発表中にペンをカチカチやっていれば指摘する、発表側が聞き手のリズムを読んでいなければ指摘する、等をなるべく新人間で行なわせる。
新人同士の議論だけではどうしても不足するようであれば、マネージャークラスの人間が指摘する。注意するのは、ここでマネージャーが指摘しすぎないことである。なんでもかんでもマネージャーが指摘すると、社員は考える力を失っていく。マネージャーが指摘してくれる、という安心感が出てしまうのだ。あくまで重要な点のみを指摘するに留める事が重要である。
社員同士で考えさせる。
そして、社員同士で仲良くやらせるだけではなく、仕事についての意見を言わせる場を設ける。
こうすることで仕事に関するコミュニケーションを促進し、後々も議論していける土台を作る。


次に講習の内容が足らない場合、特に納期やオフショアについてなど重要な点で説明が足らない場合、マネージャークラスの人間が直接別の機会で講習を行う。
無作為に選ばれた新人ペアの講習だけでは不十分なことも多いので、重要な点はこういった補足説明で後日フォローするようにする。
講習の目的は議論の活性化などもあるが、無論最も重要なのはやりたい講習が十分に出来るという点なので、新人同士によるいわば自立的な講習だけでは不足する場合はマネージャークラスのフォローによって、主目的に影響が出ないように注意する。

まとめ

以上、あまりまとまっていないが(以下略)。
これもいずれもう少しまとめて、Power PointかFlash辺りのプレゼンにしたいところ。


要は、教えるのではなく考えさせるのがこの講習の主旨という事である。
考えさせるためにはどうしたらいいか。
CUVELが出した一つの解が、教えさせるという選択だったという事だ。

*1:全てベトナム語翻訳済み

*2:amazon

*3:正確には7章だが、プロジェクト実践とはじめには講習では利用しない

*4:将来的にはリーダークラスの人間に変えるかもしれない